本州最東端のトドヶ崎(魹ヶ崎)に行く

去年の9月に本州最北端の大間崎(おおまざき)、今年の1月に本州最西端の毘沙ノ鼻(びしゃのはな)、今年の6月に本州最南端の潮岬(しおのみさき)を訪れ、今回満を持して本州最東端の魹ヶ崎(とどがさき)に行くことにした。交通の便を考えると、盛岡駅から宮古駅までバスで2時間20分、宮古駅から車で1時間、さらに徒歩で1時間というなかなかハードな道程だ。

盛岡市でレンタカーを借りて往復7時間運転するか、宮古市でレンタカーを借りて往復2時間運転するかの2択で、後者の決め手となったのが「宮古ecoカーシェアリング&レンタカー」の「106急行」とのセットプランだ。

盛岡駅宮古駅→姉吉キャンプ場まで

このセットプランは、盛岡駅宮古駅を1日16往復運行する都市間バス(106急行)の往復利用に加え、宮古駅前から6時間のカーシェアリングがセットで6,980円という設定だ。106急行は、片道2,030円、往復3,650円の運賃設定になっているため、6時間のカーシェアリングが3,330円(ガソリン代別)という計算になる。他社のトヨタレンタカーなどで6時間借りると、コンパクトカーのC1クラスでも5,400円。ふつうはこれくらいの相場なのだが、セットプランだとそこから2,000円程度安いという、まさに今回の目的にうってつけである。
このプランだと宮古市内の特定施設で利用できる1,000円商品券がついてくる。浄土ヶ浜方面の道の駅やホテルなどの土産物屋などで使うことができるため、浄土ヶ浜観光あたりをメインとしているのだろう。

www.miyako-ecocar.com

あらかじめWebページのフォームから申し込む。車が確保できればメールで返信が届く。そして利用日の前週くらいに別のメールでPDFファイルが添付されてくる。これは106急行の往復乗車券に相当するものなので、あらかじめ印刷しておくこと。

盛岡駅を07:40に出発する106急行で宮古駅に着いたら、盛岡行106急行のバス停前にある建物で受付をする。車自体は、宮古駅脇の駐車場に用意されており、そこから出発/到着する。戻ってきたときも同じ場所に車を停め、戻ってきた旨を受付場所に伝えれば一連の流れが終了する。ガソリン満タンチェックとかしないので完全に信用されていることを前提としている。ガソリンスタンドは駅前にあるのでそこで給油してから返却するのが一番簡単だ。往復で7L、1,050円程度かかった。
車種はおまかせなので今回はプリウスPHVを借りることになった。ふつうのガソリン車より燃費がいいという謳い文句で、この先の道中もメーターパネルには38km/L前後の数字が表示されていた。

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まずは姉吉キャンプ場というところを目指す。宮古駅前からは国道45号線方面に向かい、津軽石駅そばの津軽石交差点から県道41号線(重茂半島線)に入る。あとは県道41号線を道なりに進めばよい。
岩手県道41号重茂半島線 - Wikipedia

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進めばよいのだが、基本的には山道でくねくねしており、たまに道も狭いのでプリウスPHVよりはコンパクトカーの方が気持ち安心だったな。運転はそんなに上手くないのでずっと緊張していたよ。

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県道41号線から姉吉キャンプ場への分岐は、姉吉バス停のところから曲がるとよい。魹ヶ崎灯台の案内板も(色あせてきているが)、交差点にいちおうある。

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ここからは姉吉の集落を抜けて、デイキャンプ場である姉吉キャンプ場まで進む。道は1車線しかないのですれ違いにも気を遣う。

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姉吉キャンプ場に到着。宿泊不可らしい。駐車場もきれいになって何十台も停められる。混みすぎて停められない、みたいな自体はおそらくおこらないだろう。

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姉吉の集落から姉吉キャンプ場までの間にあった2つの石碑。ひとつは2011年(平成23年)の津波の遡上箇所、後者は 大津浪記念碑 - Wikipedia である。ここの標高が60mというのも背筋が凍る話だ。姉吉キャンプ場から歩いてくることもできるし、すぐそばに離合ポイントもあったのでそこに一時停車してもよいだろう。

姉吉キャンプ場→魹ヶ崎灯台

駐車場から自然歩道までは、漁港方面に下っていけばよい。

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山に熊はいるので、熊鈴などを用意していったほうがよい。今回は持っていくのを忘れたのが一番の失敗ポイントだった。熊には遭わなかったが、運が良かっただけだと思いたい。
この入口から550mは、高度を110m稼ぐために急勾配となっている。いきなりクライマックスだが頑張って登ってほしい。

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浮玉はよく漁港や養殖の湾などにあるオレンジ色のアレだが、これが木に引っかかっているというものだ。

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自然歩道で津波が遡上してきた最高点がここだという。えぇ……高すぎない……この光景の足元一面まで海面になるとか怖すぎるわ……

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勾配が大きい部分はコンクリート舗装されていたりするが、大半は踏み固められた山道になっている。

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ガケオトシ沢と名付けられた沢(灯台まで2.8km / 陸中海岸自然歩道による)。
大雨が降ったりするとここを雨水や土砂が流れて行ったりするのだろうか。

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途中にある山火事注意のホーロー板に手書きで「姉吉1.6km 魹ヶ崎2.2km」の文字。いまは陸中海岸自然歩道の案内標識が撤去されたから、途中で距離が書かれたものはこれだけになってしまった。(参考: 本州最東端を訪ねるみち

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おそらく陸中海岸自然歩道の案内標識があった場所に、みちのく潮風トレイルの案内柱が建てられていた。歩道や山道が3方向以上に分岐する場所に設置されているもので、天頂部の八方向矢印を白く塗りつぶすことで、歩道の方向を表す作りになっている。これはよくできている。

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カゴシルシ沢と名付けられた沢(灯台まで1.6km / 陸中海岸自然歩道による)。

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コヒガシリ沢と名付けられた沢。

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みちのく潮風トレイルの案内柱。ロゴだけで、ほかに記述はなかった。

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アカサキ沢と名付けられた沢(灯台まで0.6km / 陸中海岸自然歩道による)。

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「魹崎燈䑓」と彫られた石柱が埋まっている。ここから先が魹ヶ崎灯台であることを表すものだろう。

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「本州最東端の碑まで120m」の案内。

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本州最東端の石碑がある。ここに来たかったのだよ。

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みちのく潮風トレイルの案内標識があった。もともとの陸中海岸自然歩道では、この先にある与奈漁港までつながっているのだが、一部崩落などで工事が完了するまで未開通となっている。

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これが魹ヶ崎灯台。年に2回ほど内部の一般公開が行われているようで、今年の夏は来週の7月22日(日)だったそうだ。そこまで幸運は重なるものではない。

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灯台の敷地内には東屋があり、ここに訪問者ノートがある。

魹ヶ崎灯台から戻る

歩いてきた自然歩道をそのまま戻るしかない。さすがに往路(70分)よりは時間がかからず、50分程度で戻ることができた。写真撮影とかしないしな。

姉吉キャンプ場まで戻り、来た道を戻るのもつまらないので、県道41号線をさらに山田町方面へ進むことにした。県道41号線の南半分のほうが山道がキツく、道路選択を少し後悔するほどだった。海岸沿いなどは新しい道路もできていたりして、カーナビも少しだけ役に立たないこともあったりしながら、国道45号線に合流。ここから北上して、往路で曲がった津軽石交差点まで着いたら、あとは宮古駅前に戻るだけだ。

熱中症になる

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自動車を返却して、16:05発の106急行で盛岡駅に戻る。18:50発のはやぶさ36号で関東に戻って、帰宅。道中はつらかった。

よくよく調べてみると、これはいわゆる熱中症なのではないかという気がしてきた。

熱中症の症状と重症度分類 | 大阪労働局

症状がある程度は合致する。ということは、今回に限らずいままでの数時間山歩きなどで同様の症状になっていたのはすべて熱中症だったのかもしれない。

週明けにデイリーポータルが

トドヶ崎に行ってAI養命酒を紹介するPR記事を公開していた。

portal.nifty.com

なんてタイムリーな!
記事中で安藤さんが新幹線と路線バスで姉吉バス停まで行っている。しかし往路は紹介されているが、復路についての記述はない。おそらく復路は撮影担当のカメラマンの車に同乗したか、養命酒の会社の車に同乗したかのいずれかなのだろう。

魹ヶ崎へのバスアクセスの困難さを語りたい

岩手県北バスの宮古地区バス時刻表(PDF)を見てほしい。「石浜 - 宮古駅前 - 重茂 - 川代」の欄がそうだ。

http://www.iwate-kenpokubus.co.jp/pdf/miyako.pdf

これは2012年4月のダイヤ改正で、それ以降6年変わっていなさそうだ。
以下に転記してみる。( ) で囲まれた部分は休校日運休である。

宮古駅 重茂 姉吉 石浜
- (06:07) (06:09) (06:15) (06:29)
08:30 09:30 09:32 09:43 09:55
11:00 12:00 12:02 - -
13:40 14:40 14:44 - -
15:35 16:35 16:37 16:48 17:00
17:40 18:40 18:42 (18:53) (19:05)
宮古駅 重茂 姉吉 石浜
07:55 06:55 06:51 (06:39) (06:30)
09:10 08:10 - - -
11:21 10:21 10:17 10:05 09:56
15:00 14:00 13:57 - -
17:06 16:06 16:02 - -
- 17:26 17:18 17:09 17:01
- (19:31) (19:23) (19:14) (19:06)

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写真では平成30年4月ダイヤ改正となっている。pdfは古いんだな……

宮古駅前から姉吉に向かう便は、午前なら08:30発、午後なら15:35発の2便ある。
一方、姉吉から宮古駅前に戻る便は、午前しかなく、06:39発(休校日運休)と10:05発の2便のみである。

姉吉バス停10:05発の便は、姉吉バス停09:43着の便の(石浜)折り返し便なので、実質22分しかなく、この時間で魹ヶ崎灯台まで往復なんかできない。
ところで、少し手前の「里」バス停まで歩けば宮古駅まで戻ることができる。山道だけど県道だし、4~5km歩けば宮古駅まで日帰りできる。

このあたりのバス往復を実際に行った人は日本にいるもので、ブログに記録されているので是非ご覧いただきたい。

本州最東端への旅1 (2016年7月) ~とどヶ崎へのバスと徒歩での移動方法~ – うっかり日本旅

ダイヤが減便される前は、平日に限り姉吉バス停15:49発の宮古駅前までの便があったようで、少なくとも8年前に平日に休みを取って行くならアリだったのかな。

『★本州最東端のトドヶ崎灯台へバスと徒歩で行ってみる』宮古(岩手県)の旅行記・ブログ by SUR SHANGHAIさん【フォートラベル】

結論

盛岡駅05:45発の106急行に乗って、姉吉バス停から里バス停まで歩いて、13:57発または16:02発の便に間に合えば、その日のうちに盛岡駅まで戻ることができる。

ちょっとつらい。

おまけ: 本州最東端トドヶ崎見学

www.kankou385.jp

1人だと6,000円で自然歩道をショートカットできるみたい。問い合わせ先の木村さんは姉吉集落の方のようなので、いずれにせよ姉吉バス停/姉吉キャンプ場までは自力でなんとか行ってからの話っぽい。